塔の上のラプンツェルを見て思ったアニメぃションのこと

Posted on 2012年2月19日

「塔の上のラプンツェル」を観た。
ストーリーは王道のプリンセス物語、ミュージカル風になっていて昔のディズニーらしさが溢れる素敵な作品だった。

ディズニーは基本的にキャラクターごとにアニメーターの班が割り当てられるらしいのだけれど、アリエルとターザンとラプンツェルの動き(とくに表情)がとても似てい ると思って調べたら、すべてグレン・キーンが担当していた。それは、似ますよね。ディズニーランドの新しいアトラクション、フィルハーマジックのアリエルも如実に似ている気がしますが、あれもグレン・キーンが担当したらしい。面白い。

Glen Keane: Ariel rough animation

ア ニメーター、アニメイションと言えば、主人公であるラプンツェルの髪の動きがとてもリアルで驚いた。風にたなびく動き、巻き上げられる時の動き、その 一つ一つが非常に丁寧に描かれていた。この動きを実現するために、ディズニーは新たに制御ソフトウェアを開発、髪を描く専門のアニメーターを用意し、1 本1本動きをシミュレートして作ったらしい。ときたまシミュレートが失敗してNGになってしまう事も。

Tangled Bonus Feature: Hair Trouble

まさに物理演算とアニメーターの努力の賜物です。リアリティのある奇麗な表現、3DCGならではの表現です。欧米では殆どのアニメイションが3DCGになっ ているが、その一方でやたらとガラパゴスと揶揄される日本では例に漏れる事なく、手書きの作画によるアニメイションが主流となっている。こちらはCG と異なり、その特性上、線を間引いたり、歪めたりと、誇張した表現ができるのが特徴だ。3DCGとはまた異なる、独特の雰囲気をアニメーターの 主観で作り出す事ができる。

coil a circle of children

3DCG アニメと手書きの作画によるアニメの対比でよく言われるのが、「不気味の谷」の存在だ。これは、このブログでも何度も言及しているので割愛しますが、端的に 言えばリアリティーを追い求めていくと、ある点を境に「親しみやすさ」から「不気味に感じる」というように視聴者が受ける印象が変わる現象をさす言葉だ。
3DCG、とくにヒトを主人公にした作品はリアリティーを求める事で、この「不気味の谷」が現れ、興行がふるわないという事がよく言われていた(たとえば、「ファイナルファンタジー」など)。それゆえ、ディズニー/ピクサーの3DCGアニメはこの「不気味の谷」が現れないように、キャラクターを描く際 に独特な工夫が為されている(それでもピクサーが初めてヒトを主人公にした作品は6作目の「Mr.インクレディブル」だったことを確認しておきたい)。頭身や目の大きさなどのキャラクターデザインは勿論だが、歩き方や、瞬きの芝居の付け方など、動きに関しても相当表現を誇張させている印象がある。

Disney Tangled Trailer Official

この誇張のさせ方は、ディズニーが昔から描いてきた手書きるアニメイションとの共通点が多い (先述の通りグレン・キーンが関わっているからという点もあると思う)。とするならば、3DCGにおける「親しみやすさ」を惹起する“動き”の表 現の肝はシミュレート段階でどこまでリアリティを追求するかという点と、その逆、どこまで表現を誇張させるかという点にあるといえる。

1枚1枚、絵を描いてキャラクターを動かす手書きの作画と、モデリングとレンタリングによる3DCG、どちらも絵としての作り込み、仕上がりには大きな違いがあるが、それらの動きをどのように表現するか、という点には大きな共通点がある。
モーションキャプチャやフェイシャルキャプチャなどを多用した、3DCGならではの動きの表現の良さもたしかにあるだろう。しかし、そのいずれもがヒトを描くアニメイションとして適しているものなのかどうかは、現段階の技術では疑問が残る。動きがいくらリアルでも、絵のリアリティが足りないとヒトはそのギャップに よって立ち現れる不気味の谷に陥ってしまうからだ。そういった意味でも、”動きの表現”という共通項は現段階の3DCGアニメという表現媒体においてと てもとても重要な要素になっているのではないか思いました。

以上、散文駄文でした。

モーションキャプチャ、フェイシャルキャプチャ満載のタンタンの冒険がどうなるか、見守りたいと思います。

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