イヌを見ていたら、不思議に思えてきました①

Posted on 2011年10月17日

2匹の犬がいます。

どうやら、どちらかが猫の餌を勝手に食べてしまったようで、飼い主が犯人を捜しています。1匹目は涼しい顔をして飼い主の疑惑の目をやり過ごしますが、2匹目の犬は罪悪感に狩られたような態度を示しています。

2匹目の犬は犯人なのでしょうか?
真相はわかりませんが、とても微笑ましい(犬にとっては迷惑?)動画です。
さて、この動画を見ているとある疑問が浮かんできます。

「この犬は本当に罪悪感を感じているのか?」

動画から得られる情報は限られていますが、もしこの犬が本当に「ぼくが勝手に食べたネコの餌のことで、この人は怒っている。やっべえなあ。」という罪悪感的な感情をもっていると仮定すると、少なくとも2つの能力を犬が有している必要があります。

すなわち、
①過去と現在の事象の関連性の理解、
②飼い主が「勝手に餌を食べて怒っている」と言うことを理解するためのメタ認知能力
です。

最も単純な事象の関連付けのひとつに条件付け学習があります。
「ベルが鳴ってイヌがよだれを流す」という学習もこの条件付け学習です。しかし、条件付け学習の場合、2つのイベントの発生時間が離れていると学習の効率 (学習曲線)はどんどん低下してしまいます。したがって、『過去』に起こった、あるいは起こしたイベントを踏まえた上で『現在』の行動を修正・発現させる には、恐らく単純な学習能力だけでなく”時間の概念”が必要になると思います。「あの時こんなことしたなあ、だから今こうなってるのかあ」という時間の概 念を踏まえた認知能力は、単純な学習では成立し得ない能力であると考えられます(この動画では実際に噛み千切られた餌袋を犬に見せているので「壊れた物体 →怒られる」という条件付けが生じているかもしれませんが)。

動物の持つ時間の概念についてはほとんど解明されていません。ただ、”時間”とは少し離れますが、象は比較的高い数量認知能力を有していることが長谷川ラボの入江さんの研究によって報告されています。

象 からは直接バケツの中身が見えないように2つのバケツを用意して、リンゴなどの餌をそれぞれのバケツに、最初に1個から5個の範囲で入れるところを見せ、 次に両方に1個から5個の範囲でリンゴを足していきます。象がどちらのバケツを選ぶかを観察したところ、高い確率でたくさんのリンゴが入っているバケツを 選ぶことが明らかになったのです。

解釈が難しいですが、もし、本当に物体の動きを数量的に認知する、つまりある種のシンボル化を経て認知することができるとすると、それは、ゆくゆくは時間の概念の獲得に繋がっていくものなのではないでしょうか。

ま た、「相手が餌袋のことで怒っている」という認知をするには「知っていることを知っている」というメタ的認知能力が必要になります。現在のところ、このメ タ認知能力を持っている動物はヒトと一部の霊長類(イルカも持っているという報告が少数ですがあります)のみであり、イヌは未解明のままとなっています。 しかし、ヒトの社会にここまで自然に溶け込んでいることを鑑みると、イヌもメタ認知能力を持っていても不思議ではないと思います。

時間の概念はいかにして獲得されるのか?
イヌはメタ認知可能なのか?

どちらも多大な労力が必要になる大きな研究課題といえますが、とっても面白い課題です。ぼくが生きているうちにある程度解明されることを期待したいです。

ちなみにぼくはこの動画のイヌは罪悪感ではなく単純に恐怖反応を示しているだけなのかも。だって、あんなに綺麗に歯型って残りませんよね?

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