トゥーンシェードの未来その2

Posted on 2013年12月4日

前回の続きの妄想。
2013年10月から放映中の「蒼き鋼のアルペジオ」。

本作はキャラクターや戦艦のほとんどすべてがフル3DCGで制作されている。ロボットや戦闘機などいわゆるメカメカしい対象を3DCGで描くことはもはや定番になってきている。一方、キャラクターまでをも3DCGで描くことはまだまだ珍しい現状で、大きな挑戦だと思った。

視聴してみると、キャラクターが止まっていたり、静かな演技をしているシーンでは手描きアニメイションと比較して、「人形」っぽく感じる点があった。実際、技術的にもまだまだむつかしいところがあるようだ(*1)。けれど、驚くべきことに、回を重ねるごとに、その違和感がどんどん消えていき、3DCGアニメイションであるということを意識させることが少なくなった。これは本当に驚いた。

3DCGアニメイションの主流と言えば、PixarやDisneyを初めとする海外作品に見られるような、陰影や素材感までをも細かく再現する方向性がある。その一方で、日本では質感の追求よりも、アルペジオのようにセル画の質感をテクスチャとして3Dモデルに貼付ける(?)トゥーンシェーディングに力が入れられている印象がある。

以前にもメモした通り、トゥーンシェーディングが本格的にアニメイションに用いられた当初は、アニメチックな色彩/質感とぬるぬるとした3DCG的な動きがマッチせず、大きな違和感を感じた。それが、もはやあまり違和感を感じずに視聴できるレベルにまで技術が進歩していたのだから、ものすごい。

実際、手描きアニメイションとトゥーンシェーディングで描かれている人物が登場するシーンでも、その差異を感じることはほとんどないように思える。

http://www.youtube.com/watch?v=uKilKYp2iqA#t=74
(プリティーリズム・レインボーライブ)

そればかりか、どこからが3DCGでどこからが手描きなのか分かりにくいレベルにまで達しているものも(演出や場面構成、動きなどによりうまく隠されているのかもしれません)。


(キルラキル 第3話戦闘シーン)

日本初のCGアニメイション「ビット・ザ・キューピット」から20年あまりの月日が流れた今日、3DCGが抱える不気味の谷をどう乗り越えるのかが大きな課題となっていた。その深い谷を乗り越えるためにリアルさの追求からアニメイションならではの良さをうまく組み入れることに転換する方針は、逆転の発想であり、日本オリジナルな感じがしてものすごく好感がある(*2)。

とくにサンジゲンなどが「009 Re:CYBORG」などでも積極的に取り入れている1秒あたりのコマ数の削減は(*3)、とても効果的な気がして、仮現運動など“スキマ”を勝手に解釈するヒトの能力とあわせ考えると、興味を抱かざるを得ない。


(OVA『.hack//Quantum』メイキング. 秒間3コマを抜くことでヌルヌル感を減らし、手描きアニメイションっぽさを演出している)

リミテッドアニメイションやコマ数の削減、さらに、輪郭のゆがみなど、今後さらなる微調整が続けられ、ついには全く違和感を感じない日本ならではの3DCGアニメイションが生まれるかもしれない。

 

*1「蒼き鋼のアルペジオ—アルス・ノヴァ—」特集第1回 岸監督インタビュー〜その2 フル3DCGに魂を吹き込む〜

*2 アニメのゆくえ201X→第2回サンジゲン代表松浦裕暁氏インタビュー「二次元からサンジゲンへ—3DCGで描くアニメのNEXT」

*3 劇場アニメーション長編『009 RE:CYBORG』 神山健治監督&サンジゲン中核スタッフインタビュー